診療記録035:小さな旅立ち、続く絆 診療記録:産婦人科 朝の診療所は、薬草の匂いより先に布の音がした。包み布を畳む音。替えの肌着を揃える音。小さな荷が、ふたつ分ある音だった。 出産から七日。彼女は椅子に座っていた。動きはまだ慎重だが、もう“恐る恐る”…続きを読む
診療記録034:ふたりの芽吹き、四つの祝い 診療記録:産婦人科 夜半、扉を叩く音がいつもより短く、強かった。開ける前から、呼吸の乱れが聞こえている。 彼女は夫に支えられて入ってきた。寝巻きの裾が急いで羽織った外套から少しのぞいている。歩けてはいる。だが、歩幅…続きを読む
診療記録033:嵐の前の静けさ、ふたりを迎える夜 診療記録:産婦人科 扉が開く前に、ゆっくりした足音がした。急ぐ歩幅ではない。お腹を揺らさないよう、一歩ずつ確かめるような歩き方だった。 入ってきた彼女の肘を、夫が半歩後ろから支えている。妊娠38週。お腹はもう、抱え…続きを読む